日本国内おける幼児・児童英語教育について
日本国内における幼児・児童英語教育について
(民間英語教室経営者研修資料)
November,2008
オーシャン・グローバル・ネットワーク PTY LTD
代表取締役 本多 功
【1】公教育の歩み
日本では長きに渡る議論の末に、2002年より総合学習において国際理解教育の一環として小学校英語が解禁となりました。同年7月12日「英語が使える日本人の育成のための戦略構想の策定について」という文部科学大臣直轄の懇談会の場において、次の趣旨が明確に打ち出されました。:
「経済・社会等のグローバル化が進展する中、子どもたちが21世紀を生き抜くためには、国際共通語となっている『英語』のコミュニケーション能力を身につけることが必要であり、このことは、子どもたちの将来のためにも、我が国の一層の発展にも非常に重要な課題となっている。」
この時点で、文科省は、おそらく将来10年~20年の長期的なスパンで、試行錯誤しながら、日本人の英語によるコミュニケーション能力の底上げを目指す方針を打ち出したと言えます。
少なくともお隣の韓国や中国の英語レベルに追いつかなければといった危機感も感じられます。
その後、スーパー・イングリッシュ・ランゲージ・ハイスクール構想の推進、2006年度大学入試センター試験におけるリスニングテストの導入など、公教育においても、それなりに活発な取り組みが行われてきました。2007年度、総合学習において約97%の小学校が英語活動に取り組んでいるという結果が出ています。
そして、ようやく2008年になり、「2011年度より小学5年・6年における外国語(英語)学習の必修化」が決まりました。2009年度より移行措置として、小学5年・6年の年間学習時間を増やす小学校が多く現れると思われます。
【2】小学校英語必修化(2011年)
2011年度からの必修化が決まった小学校における外国語(英語)活動について、新学習指導要領では、その目標を次のように定義しています。:
「外国語を通じて、言語や文化について体験的に理解を深め、積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度の育成を図り、外国語の音声や基本的な表現に慣れ親しませながら、コミュニケーション能力の素地を養う。」
この条文は今後実施される小学校英語の根幹を成しています。
つまり、小学校英語では、「コミュニケーション能力を養う」ことを目標とはしていません。
あくまで「素地を養う」としています。補足説明をしますと次のようになります。:
1)小学校段階における外国語(英語)は、あくまでも言語や文化を体験的に理解するための手段として位置づけており、中学校段階の英語教育の前倒しになってはならない。
2)英語の単語や表現といった知識の習得に焦点を当てた活動になってはならない。3)外国語(英語)活動を通して、コミュニケーションのために英語を使い、外国の言語や文化の存在を体感したり、積極的に外国語でコミュニケーションを図ろうとする態度を育成することにより、コミュニケーション能力の「素地」を築く。
ここでコミュニケーション能力の「素地」についてさらに言及しますと、次のようになります。:
1)そもそも、新学習指導要領では、「学力」を知識量や習得度だけで測るものとせず、「物事に対する興味・関心」を持つことも立派な「学力」としています。つまり、仮に英語の知識が十分でなくても、外国の人たちと積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度を持ち合わせている点や、異言語や異文化に興味、関心を持っている点を立派な「学力」として評価しようとしています。幼少期の興味・関心が将来の学習意欲につながると考えます。
2)英語でコミュニケーションを図るために、小学校段階では、英語の知識量よりも次のような素地(社会言語能力)を養う点が重要だと考えます。:
・相手の目を見てにこやかに話ができる。
・きちんとあいさつができる。
・相手の話を聞くことができる。
・自分の考えや意思を上手に相手に伝えることができる。
・謝ったり、お礼を言うことができる。
・集団活動に馴染むことができる。
そして最後に、小学校英語活動を通して、教師が英語で言ったことが「わかった!」、自分が英語で言ったことが「通じた!」という経験を積むことにより、英語という外国語でコミュニケーションができたという喜びや達成感を生徒に感じさせられる授業運営を目指すとしています。
【3】「英語ノート」について
文科省は、小5・小6の英語必修化に向け、全国共通のガイドラインとすべく「英語ノート(試作版)」を作成し、2009年度より全国の小学校に配布します。実際に使用する中で、現場の先生方からの意見も吸い上げ、2011年までになるべく良いものにしていこうと考えています。
しかしながら、現状、小学校の先生方もこの「英語ノート」については、かなり不安を抱えておられます。「英語ノート」に関する文科省の見解は次のようになっています。:
1)小学校における外国語(英語)活動は、教科ではなく、「領域」である。「教科」には「検定教科書」があり、法的に使用義務が生じる。しかし、「領域」は教科ではないので、「英語ノート」は教科書ではなく、よって法的に使用義務は生じない。
2)必修化は小5・小6(各年間35時間)だが、従来小学校では、独自に総合学習の中で英語活動を行ってきた実情がある。それぞれの学校や地域の実態に応じて、「英語ノート」を活用すればよい。 「英語ノート」以外の教材・教具を用いることも可能である。
結論として、文科省は、「学習指導要領の趣旨を守り、英語ノートも有効活用しながら、各学校の裁量で、各年間35時間の小学校英語活動を行えばよい」としています。英語ノートを全て消化する必要はないのです。
※補足
小学校英語でとかく問題になるのは、「文字導入」です。
「小6の英語ノート(試作版)」では、一応「アルファベットの大文字・小文字」の導入ユニットがあります。
「文字導入」に対する文科省の指針は、以下のようになっています。:
1)生徒に文字に興味を持たせたり、英単語を見せることは構わない。しかしながら、英単語を強制的に読ませようとしてはならない。文字に興味を持った生徒が、音声認識と共に、何となく自然に読めるようになったというような環境が望ましい。英単語の書き取り練習などは行ってはならない。
2)英語の文字や単語を体系的に指導しようとしてはならない。(おそらくこれはフォニックス指導を指していると思われます。ただし、小学校の先生の中にもフォニックス指導は有益だと考え、現に指導を行っている先生がおられるのも事実です。)
【4】民間の幼児・児童英語業界について
私は、直営の英会話教室(OCEAN ENGLISH CLUB)を運営したり、学校・幼稚園・学習塾に外国人の英語講師を派遣したり、日本の幼児・児童向け英語教材を制作したりと、民間英語業界で日々業務を行っています。
あえて本音を言わせていただくと、「日本人全員が英語を話せるようになる必要はないし、また、それは幻想に過ぎない。」ということです。5年生から小学校英語を必修化しても、すぐに「英語の使える日本人」を多く排出できるわけではありません。
歴史的に見て母国語以外に英語を必要とした国は間違いなく「旧植民地」もしくは「経済小国」です。
シンガポールがもっと広い国土、豊かな資源や技術力を有した国だったならば、現在のようにほぼ全国民が英語を話す必要性はなかったはずです。フィリピンのストリートチルドレンが英語を使うのは生きていくためです。タイ、マレーシア、カンボジアなども、外国企業を誘致し、自国の経済を発展させていくために、国民の英語力向上は不可欠でした。
しかし、少なくとも世界有数の経済大国であり、尚かつ自由主義国家である日本には、現実的になかなか当てはまりません。日本国内において、国家の統制力をもってほぼ全国民に英語が話せるよう義務づけることはまずあり得ないことですし、現実問題として生き抜くために英語の必要性を感じることはそれ程多くありません。日本では、仮に英語が話せなくても、豊かに幸せに暮らしていける方法はいくらでもあります。
現在過熱する幼児・児童英会話市場は、ある種強迫観念にも似た「日本人(保護者)の抱える英語コンプレックス」によって支えられている面があるのは事実です。
勿論、経済のグローバル化に伴い、実業界が更に多くの「英語の使える日本人」を望んでいるのは紛れもない事実です。
こうした状況下でも、きっかけはどうであれ、英語に触れる機会を得た子どもたちには、私たちは、私たちが考える「日本国内で行うべき英語教育の根幹」を曲げることなく接していきたいと考えています。
それは、日本でよく見かける以下のような英語教育を指しません。:
■典型的な日本の児童英語教室■
1.「英検信仰」型英語教室
:「英検」は確かに多くの保護者も学生時代に受験した経験のある試験ですから、一番安易に達成度をアピールできるのかもしれません。(現在、英語教育に対してある程度の知識と方針を持っておられる保護者は英検を目指す英語教室を避ける傾向にあります。)
英検は選択形式で6割程度正解すれば合格できますし、日本人講師が直前に過去問等を利用してある程度対策すれば、仮に実用的な英語力がなくても合格させることが可能です。
特別「英検」に的を絞るのではなく、総合的な英語学習を経た後に、少し準備をして受験してみたら英検に合格したといった方向であれば何も問題はありません。
「小学4年生で英検3級合格!」などといったフレーズをチラシの全面に打ち出すような英語教室は、英語教育に対する自社の明確なコンセプトが無いと言っているようなものです。
実業界においても、スーパー・イングリッシュ・ランゲージ・ハイスクールにおいても、もはや「英検」などを英語力判定の基準には置いていません。現状世界的にTOEICが最も信頼されているのではないでしょうか。
基本的に英検は準1級からしか評価の対象になりません。
2.「チーチーパッパ・イングリッシュ」型英語教室
:これは私の造語です。いわゆる幼児・児童英語において、いちいち大げさな(あるいは妙な)動作を付けて英語を発話させるようなタイプの英語教室です。私どもの教室に他教室から移籍してくる生徒の中にも必ずこういったタイプの子どもがいます。「Hello.」とか「My name is ○○○.」とか言うだけでも、独特の身振り手振りを付けて発話するのです。はっきり言って対話する側の外国人講師の方が戸惑っています。
このタイプは特に日本人女性講師に多く見られる傾向ですが、発話の度に幼少期の子どもたちに何か独特の動作を付けさせると、「見た目にかわいい。」とか「楽しげな雰囲気になる。」とか「定着度が増す。」などと勘違いされているのでしょう。しかし、このような英語学習環境で育った子どもが、実際に外国人と対話する機会に妙な動作付きで発話したとすれば、ただ単に「strange」と思われ、恥をかくことになります。
勿論、ある程度の年齢になれば、子ども自身も、「どうしていちいち変な動作をしなければいけないんだろう?」と疑問に感じているとは思いますが。
TPRなど、その目的が明確でかつ効果のある指導法で動作訓練を行うのは問題ありません。
3.「中学校英語先取り」型英語教室
:特に学習塾で行われていることが多い小学高学年対象の英語レッスンです。
中には実際に中学1年生の教科書を使って授業を行う教室もあります。保護者も、小6時代に中学英語を予習しておけば、中学英語でつまずかないだろうと期待されていることと思います。
あえて辛辣なことを申します。同じ1年間でも、中学3年生の履修内容と中学1年生の履修内容では、量的にも質的にもかなり違いがあります。中学1年生の履修内容は大したものではありません。
簡単な中1程度の英語を6年時から学習しておかないとついていけなくなるような生徒は、いずれ中2にもなれば必ずついていけなくなります。基本的に学習姿勢や基礎学力に問題があるからです。
中学英語の先取り学習をした小学時代の貯金は、遅かれ早かれ必ず使い果たすことになるのです。中学英語の学習は中学に入ってからで十分です。小学生時代にこそやらせておくべきことをやらせなければいけません。(内容は後述。)
また、小学校英語必修化においても、文科省は、はっきりと「中学英語の前倒しをしてはならない」としています。それは、「英語嫌いの前倒し」になる可能性があるからです。
4.「イベント」型英語教室
:あまり教育効果が期待できない「英語劇」や「スピーチコンテスト」の準備に膨大な時間を費やしている英語教室があります。英語学習成果の発表の場と思ってのことでしょう。
本来、子どもたちに「英語でコミュニケーションを図る喜び」を感じさせる空間を造るべきであるのに、何故かベクトルが違う方向を向いていると言わざるを得ません。
多くの場合「英語劇」や「スピーチコンテスト」は「保護者うけ」を狙った「ヤラセ」です。主人公である子どもたち自身が楽しんでいるかどうかは、はなはだ疑問です。中には、そういった人前での発表などイヤでイヤで仕方がない子どもだっているはずです。自己表現能力の向上や、集団で何かを創造する過程で得るもの、といった英語教育とはまた別のものに重きを置いているのであれば構わないと思いますが。
また、このような教室は、異文化理解と称して、「ハロウィーン」や「クリスマス」に気合を入れたりもします。真剣に異文化理解のアプローチを行おうと思えば、かなり大変なことです。「ハロウィーン」や「クリスマス」を楽しむのは構いませんが、異文化理解などと大げさなことを言わない方がいいと思います。
イベントを否定する気持ちはありません。私たちもイベントをします。しかし、イベントは第一に主役である子どもたちが楽しめるもの、子どもたちの中に、少しでも英語や異文化に興味・関心が芽生えるものがいいのではないでしょうか。子どもたちが本当に楽しんでいる姿を見れば保護者は自然に喜んでくれます。
5.「ウソ・誇大広告」型英語教室
:英語教室の中には、顧客の関心を引こうと、平気でウソを言う教室があります。
チラシなどでも以下のようなキャッチコピーをよく見かけます。:
(私たちはこのようなフレーズは絶対に使いません。)
・「外国人講師に習えば、あなたも将来バイリンガル!」
・「外国人講師に習えば、自然に英語が身に付きます!」
・「英語だけではなく、異文化も理解し、将来は国際人!」
日本国内で英語教室に通うだけでバイリンガルになることは不可能です。
現に日本人と英語圏の外国人のご夫婦の多くが、日本国内でお子さんをなかなかバイリンガルにできず悩んだ末に、結局数年単位で、日本と海外生活を交互に送るといったケースがよくあります。国際結婚のご夫婦のお子さんでもなかなかバイリンガルにはなれないのです。
また、高校時代に3年間英語圏に留学した学生が帰国したとき、「日本語も英語もどちらの言語も中学生程度」といった悩みはよくある話です。
「バイリンガル」というフレーズを軽々しく使うような英語教室は、英語教育に対する理念などまるでないと思った方が良いでしょう。
仮に外国人講師から英語を習う環境があったとしても、日本国内で英語が「自然に身に付く」こともまずありません。英語が身に付くためには、それなりの学習量が必要です。
自らの体験から、多くの保護者は、英語学習に対して「つらい勉強」というイメージを持っていらっしゃいますので、「楽しく自然に身に付く」というフレーズには、ときめきを感じます。わが子に「楽しみながら自然に英語を身につけてくれたら」と期待するのが親心でしょう。キャッチコピーは見事にこのあたりを突いています。
「勉強=つらい」というイメージを「学習=楽しい」に変えることが必要であって、「身に付くためにはそれなりの学習量が必要だ」という当たり前のメッセージを出さなければいけません。
「国際理解教育」とか「異文化理解」といったフレーズも流行っています。文科省が使ったので浸透しているのではないかと思われます。この分野も英語教室の空間で解決できるようなテーマではありません。
(本当に異文化を理解させようと思えば、それぞれの国の歴史や宗教に言及しなければなりません。)
「国際理解教育」とか「異文化理解」といったフレーズを全面に押し出しながらも、やっているのはハロウィーンやクリスマスパーティーといった教室が少なくありません。
また、本当の「国際人」は英語教育だけで育成できるものではありません。まずもって英語以外の部分に負うところが大きいのではないでしょうか。
要するに、英語教育に対する確固たる理念がなく、子どもたちに生き生きと学習させ、保護者を納得させられるだけの指導者やカリキュラム・指導法を有していない教室が、こうした「聞こえはいいけれど、まやかし」の宣伝文句を前面に出すのです。
6.「高額教材押売り」型英語教室
:一番悪質です。何十万円もする高額な英語教材セットをローンで購入させることを目的とした英語教室もあります。ただし、こういった業者はずいぶん減ってきました。
【5】日本で行うべき幼児・児童英語教育
前項では、日本でよく見かけるタイプの英語教室を辛辣に批判しましたが、では、「日本国内で行うべき幼児・児童英語教育」はどうあるべきでしょうか。
私たちは、枝葉を取り払えば根幹が見えてくると信じています。前述しましたように、日本という経済大国においてみんなが英語を話せるようになる必要はありません。しかし、21世紀の政治・経済の動きを考えた時に、現在より遙かに多くの日本人が英語や中国語が使えるようになる必要はあるでしょう。
基本的に日本に生活基盤のある幼少期の子どもたちに、英語を学習する機会が与えられるのでれば、私たちは次のようなコンセプトで児童英語教育に携わりたいと考えています。:
「子どもたちが、いずれ自己を確立する年齢になったときに、明確な目的意識をもって、もっとしっかりとした英語が話せるようになりたいという気持ちが芽生え、またその後自己の努力によってその目標に近づけるようになるための「素地」を、日本国内で幼少期(中学入学前)につくる。」
上記の「素地」をつくるために次のような環境作りを行います。
その際、前提として私たちは次のスタンスをとっています。
●幼児・児童期の英語指導において一番大切なポイントは、子どもたちに「英語を使ってコミュニケーションを図る喜び」を体感させ、「英語を使ってコミュニケーションを図ってみたい気持ちを芽生えさせること」 である。子どもたちに、この気持ちが芽生えることで、将来長きに渡って続くであろう英語学習を支える自然な学習動機が生まれる。(受験のためという学習動機は不健全であるし、弱い。)
●日本国内で週に1回か2回という限られた学習環境においては、例え外国人講師から英語を学ぶ機会があったとしても、「英語は自然に身に付くものではない。」
●英語習得には練習の絶対量が必要である。幼児・児童期においては、特に「聞く・話す」に重点を置き、 徹底的に「楽しい英語トレーニング」を行う。家庭でCDを聞く課題も課す。
●「読み・書き」はフォニックス理論に基づき体系的に指導する。
具体的な教室運営は以下のようにしています。
1.実際に外国人と触れる空間をつくる。
:これは幼児・児童英語の学習環境において無条件に重要な要素だと考えています。
幼児~小学生の英語学習環境においてネイティブスピーカーが望ましいのは、「生きた英語に触れられる」とか「英語らしい発音が身に付く」といったことが本来の目的ではありません。
「英語」という異言語が存在し、その異言語を使ってコミュニケーションを図るという空間を、子どもたちに自然に受け入れてもらうために外国人を必要とします。相手が英語を母国語とする外国人だからこそ、子どもたちは英語をコミュニケーションの道具として違和感なく受け入れることができるのです。そして英語を使ったコミュニケーションに対する新鮮な喜びが、その後の英語学習を支える貴重な原体験となるのです。
これに比べて、日本人講師から英語の指導を受ける場合、子どもたちの意識は全く違ったものになります。日本人だと分かっている相手に対して英語で接しなければならない環境は、子どもたちにとっていかにも不自然で納得できないものだからです。そのような環境においては、子どもたちの中に「英語を使ってコミュニケーションを図りたいという気持ち」は芽生えにくいと考えます。
※学習年齢に応じた文法説明や読み書きの指導においては、外国人講師よりも日本人講師が指導した方が学習成果が上がる点は認められます。日本人講師による英語指導を否定するものではありません。
2.外国人講師の話す英語が「分かる楽しさ」を体験させる。(特に幼児期)
:語学学習は、とにかくたくさん「聞く」ことから始まります。
膨大な英語を聞く訓練を通して、子どもたちのリスニング能力はどんどん高まっていきます。
弊社オリジナル幼児教材「English with Moja-kun」シリーズでは、子どもたちの身の回りの語彙や表現を、とにかくたくさん英語で聞いて認識できるように指導します。幼児期のアウトプット(発話)はなるべく負担の少ない形(Yes / No / 単語のみ)で要求します。
まだ自らフルセンテンスで発話できなくても、英語学習の初期段階で「外国人の言っていることが理解でき、それが楽しい!」と感じられる空間をつくってあげることはとても重要だと考えます。
3.自分の英語が外国人に「通じる楽しさ」を体験させる。(特に小学生期)
コンセプト:「楽しい英語トレーニング」
:外国人に不慣れな大人の場合、「言葉の違い」は時として乗り越えがたい「言葉の壁」となって外国人とのコミュニケーションを阻んでしまいます。ところが、豊かな感性を持ち、好奇心に溢れた子どもたちには、この違いは「壁」などではなく、むしろ大いに興味を刺激するものとなります。そして外国人とコミュニケーションを図ってみたいという気持ちが子どもたちの心の中に自然に芽生えたならば、子どもたちは、日本語・ジェスチャー・英語と、あらゆる手段を駆使してコミュニケーションを図ろうとします。
こうした子どもたちの自然な学習動機の高まりに比例して、子どもたちの身の回りの現象や子どもたち自身に関する情報を英語で伝達できるよう導いていきます。
段階を追って英語の語彙・表現・応答・文法内容をどんどん与えていき、発話できる内容を増やします。
英語は自然に身に付くものではありません。学習の絶対量が必要です。クラス内では圧倒的な絶対量をもって「聞く・話す」訓練を「楽しく」行います。1時間のレッスンで、子どもたちは最低でも400回の発話をするよう授業を進めています。「楽しい英語トレーニング」が私たちのコンセプトです。
最初の段階は「外国人の英語が聞いて分かる楽しさ」を味わうことから始め、徐々に「自分の英語が外国人に通じる楽しさ」を味わえるように導いていきます。
ゲームやアクティビティなどによる楽しさは2年と持ちません。「自分の英語が外国人に通じる楽しさ」を味わった子どもたちは更に吸収しようとします。
私たちは、小1から学習を始め小6まで6年間学習したときの到達目標を、「英語圏でホームステイする機会が与えられたならば、何とか英語で過ごすことのできる会話力を身につける」としています。
弊社オリジナル小学生教材「Talk Time」シリーズ(1~6)は、前述の目標を達成するために制作しており、易しい日常会話であれば十分に対応できるように配慮してあります。
時制では、Talk Time 3で「過去形」、Talk Time 4で「未来形」、Talk Time 5で「現在完了」の導入を行います。会話形式の練習を確実に継続していけば、子どもたちは難なく語彙や表現を増やし、文法も理論ではなく実体験の中で習得できるようになります。
こうした実体験は、中学入学以降に文法を学習する際にも大いに役立ちます。
また、小学生の時期に豊富な音声訓練を受けた生徒は、中学生以降、英文を覚える速度が圧倒的に早いといった効果も期待できます。音声練習により「Acoustic Image(聴覚像):耳にした英語が残音として頭の中にピタッピタッと残る感覚」が発達するからだと言われています。
※「文法」について:
日本に居住する平均的な日本人の学習者にとって、第2言語として英語を学習する際には、「文法理解」は不可欠です。従来の日本の英語教育のイメージから、「日本では、読み・書き・文法に偏った英語教育を行ってきたために、日本人は英語が話せない」「英語を話せるようになるためには文法は必要ない」といった意見をよく見聞きしますが、これは間違っています。
「文法」は大切です。中学3年生までに履修する文法内容も理解せずして、日常会話が成り立つことはあり得ません。
問題は、「文法」の学習(指導)方法です。中学生が、「聞く・話す」といった実体験もないままに、学校や学習塾で「今日は3単現だ!」といきなり日本語による文法解説を受けるといった方法が間違っているだけのことです。その前に「聞く・話す」という音声ベースで、「3単現」にまつわる英語のやり取りを十分に行い、子どもたち自身がある程度実感した後に、まとめとして教師が日本語で文法解説を施し、その後演習をさせればいいのです。
小学生の授業であれば、文法枠を設定し、豊富な音声練習を行うことにより、子どもたちが何となくその構造に気付くといった環境さえ作れば十分です。先ずは「習うより慣れよ!」です。
そうした実体験の蓄積が、将来文法を理解していく過程において大きな「手がかり」になります。
4.「聞く・話す」分野を先行させながら、徐々にフォニックスによって「読む・書く」分野の指導も行う。
:私たちの運営する教室では、小学生時代に最長6年間に渡り、本格的にフォニックスを指導します。
全て弊社オリジナルのフォニックス教材を使用します。今では、多くの英会話教室で「フォニックス」や「TPR」という指導法を採用していることと思います。しかしながら、「どのようにフォニックスを導入し体系付けるか」「どのようなレベルまでTPRの課題を課すか」は教室によって大きな違いがあります。
私たちは基本的に日本の小学生~中学1年生くらいまでの年齢の学習者には、フォニックスは有効だと考えています。英語と日本語にはそもそも「音素」に大きな違いがあります。また、例外が多々あるにしても、英単語の「つづりと発音」にはある程度の規則性があります。
そうした音素や規則を小学生時代に学習することは、いずれ中学生以降、英文を読んだり書いたりする際に大きな財産になります。
小学校でローマ字を習う前にフォニックスの指導を受けるのが望ましいと思います。
具体的な内容について詳細がお知りになりたい方はいつでもご連絡ください。
●最後に●
私たちは、直営教室の保護者の皆さんに、機会があればこんなことを言います。:
「OCEAN ENGLISH CLUBにお通いいただいてもすぐにペラペラ話せるようになる訳ではありません。しかし、継続していただく中で、お子さまに、英語でコミュニケーションを図る喜びを感じていただけるようにいたします。また、楽しい英語トレーニングを行うことにより、英語で対話できる内容も増えていきます。ただし、将来、お子さまが英語を話せるようになるかどうかは本人の努力次第です。私たちは、そのきっかけ作りと素地作りのお手伝いをさせていただいています。」
幼少期にピアノを習う子どももたくさんいます。全員ピアニストを目指している訳ではありません。しかし、幼少期の環境と適切な指導がきっかけとなって本人に目的意識が芽生え、それからの本人の努力が実ってピアニストが誕生します。(この場合には本人の才能も必要だとは思いますが。)
現在、小学校の総合学習においても、自然体験や理科実験などが以前よりも積極的に行われています。これも知識を詰め込むのではなく、子どもたちの知的好奇心を自然に刺激し、将来、より能動的に自然科学に興味を持ってもらおうとする取り組みです。
英語も同じです。幼少期から外国人講師に英語を習えば、いつかは英語が話せるようになる訳ではありません。しかし、そのことがきっかけとなり、また適切な指導を受けたことにより、自然に英語に興味が湧き、またそれなりの基礎力が身に付き、そして学習者に明確な学習動機が芽生えたならば、後は本人の努力によって、本人が思い描く英会話レベルに達することができるはずです。
国(文科省)が「使える英語教育」を打ち出してから、小学校英語の必修化が決まるまでに実に20年が経ちました。私たちはNPOの立場では、来る小学校英語必修化に向けて「日本人の小学校英語指導者」も養成し、微力ながら日本における小学校英語のお役に立てるよう活動しています。
日本の児童英語教育については、公教育、民間教育それぞれにいろいろな学習環境がありますし、いろいろあって良いと思います。官民の協働も進みつつあります。全国のさまざまな取り組みの中から、日本の子どもたちにとってより豊かな環境が生まれていくことを期待しています。