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2. 何が問題だったのか

私たちが考えたことをまとめてみます。

学習内容がマンネリ化してしまう

 「ゲームやアクティビティによってレッスン自体は楽しく行われている。ただ、そこで学ぶ英単語や表現にはあまり変化が見られなくなる。」これが私たちの抱えていた問題でした。「学習内容のマンネリ化」と言うこともできるでしょう。マンネリ化というと「講師が怠惰で工夫をしない」といったイメージが浮かぶかもしれませんが、講師たちはアプローチの仕方を変えながら楽しいレッスンをしようと努力していました。

 実は、全国各地の英語教室からご回答いただいた弊社アンケートでも、多くの教室担当者の方が困っている点として「レッスンがマンネリ化する」を挙げておられます。つまり、この問題は子ども向け英語教室でよく生じる問題だと言えるのです。私たちはマンネリ化の原因が、単に講師個人の力量不足にあるとは考えていません。

簡単に教えられる英語は限られている

 では、学習内容のマンネリ化はどうして起こるのでしょうか。私たちが考えた原因は割と単純です。それは「簡単に教えることができる英語には限りがある」というものです。そのため、一通りのことを教えた後、教えることがなくなってしまうのです。正確に言えば、「簡単に教えることができる英語」が底をついてしまうのです。この点を少し具体的に述べます。

 ふつう、小学校低学年くらいの子どもが週1回の英語レッスンを受けるとすると、最初の1~2年の間に次のような英語を学ぶでしょう。便宜上、これらを「初歩の初歩」と呼ぶことにします。まず英単語として、体の部位・動植物・身の回りの事物・数字・色・都市・天気・時間・曜日・月名・家族・職業・基本動作などを学びます。

 合わせて次のような質問に答える練習もすると思います。
What's your name? / How old are you? / Where are you from? / Where do you live? / How many people are there in your family? / What day is it today? / What time is it now? / When is your birthday? / How's the weather today? / Is this a car? / What's this? / What color is this? / Who is he? / Do you like dogs? / What sports do you like? / Can you swim? / Please open the door? などです。
 もちろん、他にも挙げることができますが、例えばこんな感じでしょう。

 これらの項目を指導するのは比較的簡単です。英単語をリピート練習した後に応答練習をすればよく、その応答練習もキーワードを置き換えるだけです。英語の意味も推測によって理解できるでしょう。

たとえば、
one, two, three, four ... をまず教えて
I'm (seven) years old. と文の中に組み入れて教え、
How old are you? という質問に対して
I'm (seven) years old. と答えるように指導する。

または、
baseball, tennis, soccer, basketball ... を教えて
I like (soccer). と文に組み入れて教え、
What sports do you like? という質問に対して
I like (soccer). と答えるように指導する。

さらに、Please open the door. についても
open the door, close the door, turn on the light ... を教えて
Please (open the door). と文に組み入れて教えれば済みます。
この場合は動詞が原形のまま使えるから簡単に教えられるのです。

「初歩の初歩」の次へと進む難しさ

 ところが1~2年もすれば、本当に定着しているかは別として、これらのほとんどはやり終えてしまいます。子どもたちが理解できる英語の幅を広げたいと思うなら、たとえば、人称代名詞(he/she/they)、人称代名詞の格(I/my/me/mine)、三単現、進行形、過去形、などが次のステップとして考えられるでしょう。

 けれども、これら「初歩の初歩」の次のステップを教えるのはそう簡単ではありません。キーワードの単純な置き換えで英文を作ることができず、多少なりとも英語のルールを理解して、語形を変えたりする必要があるからです。

たとえば、
watch TV, read books, play the piano ... を教えれば、
I (watch TV) every night. という文の練習はすぐに可能ですが、
以下のような文はそうはいきません。
Ken watches TV every night.
I watched TV last night.
Ken watched TV last night.

 さらに、そのルールや英語の意味するところを、どうやって子どもたちに理解させるか、という問題も出てくるでしょう。推測には限界があるからです。たとえば、
He plays soccer on Saturdays.
He is playing soccer.
これらの2つの英文の意味を子どもたちに理解させることは簡単ではありません。まして日本語を使わずに教えるのは至難の業です。

 また、新しい内容を教えにくくなる他の原因としては、それまでに習ったことの理解や定着が不完全だという点も挙げることができるでしょう。三単現を教えるにしても、I like bananas. や Do you like bananas? が言えない子どもに、Tom likes bananas. や Does Tom like bananas? を教えることは難しいし、意味が薄いとも言えます。

 私たちは何らかのヒントが得られないかと、いろいろなテキストに目を通しました。書籍も読みましたし、ワークショップに参加したこともあります。ただ、あまりピンとくるものはありませんでした。目にするアイデアの多くは、前述の1~2年目で教える内容、つまり「初歩の初歩」に関するものでした。最近では、インターネット上でもいろんなレッスンアイデアが紹介されていますが、やはりその多くがこの段階についてのアイデアです。

 もちろん、各社から出版されているシリーズ物の英語教材には、三単現や過去形を扱う巻があります。ただ、これらの項目を「初歩の初歩」と同じやり方で教えることは難しいのですが、その点に対する配慮はあまり感じられませんでした。少なくとも私たちの教室では、レッスンの中でテキストがうまく機能しないことがありました。


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