2.「自然に身につく」の限界
簡単な英単語や表現は、自然に覚えられるが…
たとえば、子どもたちは簡単な英単語であれば、恐竜やゲームのキャラクターの名前と同じく、すぐに覚えてしまいます。そんなに努力している様子は見られないので、これらの英単語が「自然に身についた」と表現しても間違いとは言えないでしょう。
ただ、冷静に考えれば、身についたのはいくつかの英単語だけです。それだけでは使い道がありません。保護者の皆さまも英単語が自然に身についたからといって、「英語が」身についたとは考えられないでしょう。では、英単語ではなく生活の中で実際に使える英文だったらどうでしょう。
生活の中で使える英文とは、たとえば、What's wrong?(どうしたの?)とか、Mam, is dinner ready?(お母さん、夕飯できた?)とか、It's time to get up.(起きる時間ですよ。)のような英文だとしましょう。初心者向けの英会話集に載っているようなものです。
これらの英語を日常生活の中で口にするようになると、「いよいよ英語を話し始めたぞ!」と期待が膨らむかもしれません。子どもたちにとって、これらの英語を覚えることはそんなに難しくありませんから、教えれば、そして促せば、普段の生活の中で覚えた英文を使ってみる子どもも出てくるでしょう。その場合、これらの英文が「自然に身についた」と言うことはできるかもしれません。
「身につき始めた」と実感できるレベルについて
しかしながら、これでもまだ、「英語が」身についたという状態にはほど遠いわけです。お決まりの英文を場面とセットで丸暗記しているにすぎないので、自分の言いたいことに合わせて英語を組み立てることはできません。子どもたち自身にしてみても、英語を使っている実感はそう得られないと思います。
やはり、自分の言いたいことを片言でも言えたり、あるいは初めて聞く英語の内容が少し分かったりすることをもって、「英語が身につき始めた」という実感がわくのではないでしょうか。つまり、「英語が身につく」と言った場合、最低でもこの程度を期待するのが、一般的な感覚だと思います。
もちろん、これは言葉の定義の問題であり、どのレベルの英語力をもって「英語が身についた」と考えるかは、各人の自由です。ただし、「自然に身につく」とか「身につかない」と述べる際には、どの程度の英語力を前提にしているのかを、はっきりと示すべきだと思います。